私の友人で彼氏が自分よりも背が低い人がいた。
彼女はすごくそのことを気にして
いて、買う靴はいつもノーヒールのフラットペッタンコ靴。
そこまで、気にすることも
ないのになぁ、と思ったけど、それ以外に彼女の苦労はあった。

みんなでボードをしに、雪山に行った時に写真を撮ったのだが、デコボコしている
雪山で凹んでいるくぼみに立つ彼女。
そしてそこには何も気にしていなそうに立っている
彼。
彼女はさりげなく、膝を折り、彼氏に寄り添っていた。
そして現像した写真は見事に
彼氏と彼女の背丈が逆転していているように見えたのだった。

そんなところで愛情を図るのはおかしいのだけど、「やっぱり愛されたい、彼氏に可愛いと言ってほしい」などの欲求は好きになればなるほど、どんどん高まっていく。
もしかしたら、彼氏だって「気にしないように振舞っている」としたら、それは彼女への
愛情かもしれない。

そして、クリスマスの次の日。
その彼女と会って、いつものようにお酒を飲んでいた。
その日の彼女は流行りのヒールが高いブーツだった。

「うわ!私もそういうブーツほしかったんだ!どこで買ったの?」
私が身を乗り出して聞くと、急に号泣し始めた。

「え…ごめん!どうしたの?なんかあったの?」
と、私はびっくりして気の利く言葉も出なかった。

すると、彼女が

 「これ、昨日クリスマスプレゼントって彼がくれて…。
今まで私が気にしてヒールを

 履いていなかったことに気づいていたみたいで、お互いそういうところも含めて、

 大好きになろうねって言われてさ、もう本当にうれしくて。」
とさらに泣きじゃくる彼女。

そんな小さな彼氏と大きな彼女は、めでたく結婚した。
もちろん、結婚式には高い
ヒールを履いていた彼女。
その時、私にはその小さなはずの彼氏が大きな彼氏に見えた。
弱点をも好きになれる相手と結婚できるなんて最高。
自分のコンプレックスを認めて
もらえる素敵な恋愛、私もしてみたい。

結婚はゴールではないけど